fourspeedのブログ

埼玉県川口市で独りレザージャケットを作り続けています。

2000年か2001年に作られたジャケットだと思うのだけれど・・・

たぶん、どこかのお店さんの別注で作った1点物サンプルジャケットの写真です。

オーナーのお客様は、オークションで入手されたということです。
入手された時からZIPの差込側が裂けていたそうで、ZIP交換の修理の為に御来店されました。

革も裏地も織ネームも間違いなくフォースピードの物です。
という事は、この型紙を作ったのは私です。間違いはありません。
しかし、お恥ずかしい事にこのジャケットの背景を思い出す事が出来ません。

ZIPを見ると、設立当初のみ使っていたスライダーです。
つまり2001年頃。う~ん、

まあ、とにかく物凄い迫力があるので写真をご覧ください。

まずは、正面

イメージ 1


写真の150%増しの迫力があります。

右袖の皺の入り方!

イメージ 2


左袖。う~~ん、かっこいい。

イメージ 3


裏地は、絶版になった金茶の綿カツラギ起毛。
なんとなくこの裏地の扱いを終えるのが寂しくなりました。
だって、物凄く革の雰囲気にマッチしていますから、

イメージ 4

イメージ 5


このジャケットの凄い所は、(予測に過ぎないのですが)
まるで肌着のように、何年にも渡りガンガン着込んだ後、
ダンボール箱などの底にペッタンコになるように押し込まれていたであろう事。

圧迫されていた為、衿はつぶれてます。
またそれが雰囲気をだしているんですが、

イメージ 6


左の肩部分なんてギン部分が割れてます。しかも折り癖がついてしまってます。

イメージ 7

イメージ 8


でも、それさえもかっこいい。

そして後姿。

イメージ 9


後ろからも見てください、この左袖の皺!

イメージ 10


衿にも着込まれてこそ出来るアタリが、

イメージ 11


最後に右袖。

イメージ 12


この雰囲気。  たまりません

でも、これを真似したくてもなかなか出来ないでしょう。
だって、ほっとかないといけないんですよ、
それもかさかさに革が割れる程。
しかも荷物の底のほうに押し込んで放置です。
業者さんが買いとった後、忘れられてたんでしょうかねぇ。

皆さんもお気づきかと思うのですが
1つの革のパーツごとに革の顔が違っていますよね
しぼの形も千差万別。
革だから当たり前なんですよこの状態、
同じ状態のものなんて絶対にありませんから。だって素材は革なんです。

まあ、それを同じ状態に見せる加工もありますがね、
革にも均一の状態を望む人もたくさんいる事は確かです。

顔が変わることを楽しむユーザーと、
まるで人工皮革のような均一な表情の顔を求めるユーザーを納得させなきゃいけない
タンナー(革加工屋さん)さんには、本当に頭が下がります。

私は、このジャケットを見て興奮しました。
オーナーの方には、興奮させてくれたお礼に両サイドのレースアップの革が無くなっていましたので
新しいのをプレゼントさせて頂きました。


自分が着る事によってこのような雰囲気をもった革ジャンを作りたいですよね
皺の1本1本までもがオーナーの歴史になります。

革の持つ魅力の紹介でした。

fourspeed leathers 須山哲也